男鹿山塊 白倉山(1460m)、三依山 (1305m) 2011年2月19日

所要時間 8:07 尾頭トンネル西口−−9:07 1185m峰−−10:00 白倉山 10:17−−11:11 尾頭峠−−11:19 1170m肩で休憩 11:31 −−12:52 三依山 13:11−−14:12 尾頭峠−−(この間ピッケル探索)−−15:05 尾頭峠−−15:46 尾頭トンネル西口

概要
 尾頭トンネル西口を起点に2山を踏む。白倉山へは南西尾根を上がり、旧町界尾根を南下して三依山に至り、尾頭峠に戻って送電線巡視路でトンネル入口に戻る。最初から積雪があって終始スノーシュー装着で行動。積雪は数10cm程度だったが笹は全て埋もれて藪漕ぎ皆無。しかし雪の締まっていない区間もあってまだ残雪期には早かった。白倉山は東西方向に展望良好。


 そろそろ花粉シーズンが始まり、今週は東京で花粉悲惨、じゃなくて飛散初日宣言が出た。もう近場の山は恐ろしくて登れず雪のあるエリアがターゲットとなる。今週は週頭に東京でも久々の降雪を記録し、山の方はそれなりに積もったはずだ。下手な場所に行けば地獄のラッセルが待っているのは確実で、ベストな場所は木曜夜の雨が雪にならずに雨のエリアだ。そこなら雪が締まった可能性が高い。そのエリアだが高過ぎる山、日本海側は不利で関東平野近郊だろう。地図を眺めて久しぶりに栃木北部に出かけることにし、塩原西部の白倉山、三依山を目指した。ここは三依との境界線上にあり(三依山はずれているが)標高は1300〜1400mである。

 このレベルの山なら事前調査せずに入って問題ないが、ネットで少しだけ調べたら両山ともメインルートは尾頭トンネル西口の送電線巡視路を起点として尾頭峠から主稜線経由らしい。笹薮があるようだが無雪期でもそれなりに登られている(というか雪のある時期よりも登られているように感じた)ので大した藪では無いだろう。雪が期待でき籔が埋もれた今ならどう登ってもOKなので、白倉山へはトンネル入口から北斜面を詰めて白倉山南西尾根に乗って最短距離で登り、三依山へは旧町界尾根を往復、尾頭峠からトンネルに戻るルート設定に決定した。

尾頭トンネル西口の駐車場 トンネル出口すぐ北側のこの尾根を登った
巡視路入口 巡視路を外れて埋もれた沢を渡り尾根へ取り付く

 矢板北PAで仮眠し西那須野塩原ICで降りて国道400号線を西に進む。尾頭トンネル付近は路面凍結があって慎重に運転、トンネルを抜けた西側の駐車場は一部除雪されて駐車可能で助かった。周囲は真っ白で雪が無い心配は杞憂だった。あとは雪質だな。駐車場近くの温度表示は-4℃だった。車の中で朝飯を食って今年初めての雪装備(スノーシュー、アイゼン、ピッケル)で出発。送電線巡視路入口の標識の埋もれ方からして雪の深さは2,30cm程度か。木曜日の雨(ここでは雪だったらしい)の前に誰か登ったようで新雪に埋もれたトレースが巡視路に続いており、下山時はこれのお世話になる予定だ。まだ雪は締まっておらずつぼ足だと10cm以上沈む。スノーシューで正解だったようだ。

尾根に取り付く 落葉樹林とカモシカの足跡が続く
カモシカの足跡(中央) ここだけ唯一地面が出ていた

 巡視路に入ってすぐの沢で巡視路を外れて左手の尾根に取り付くことにしてトレースを外してほとんど枯れた沢を渡り斜面に取り付く。最初からカモシカの足跡があったがろくでもない急斜面を這い上がっており、スノーシューのままでは真似できないので回りこんで尾根に乗った。尾根上は雪に覆われた落葉広葉樹林で藪は皆無、この標高ならたぶん無雪期でも笹は無いと思う。カモシカの足跡は雪が沈まず歩きやすいので、できるだけそれを辿って高度を上げる。なかなかの傾斜で最初から汗をかかされた。気温は-3,4℃が続いたが体を動かしていれば寒さは感じない。樹林は終始適度な隙間があって歩きやすかった。僅かな区間だけ地面が出ていた所があったが距離にして10mくらいだっただろうか、あとは一面の銀世界が続きスノーシューの威力発揮だ。

1185m峰は近い 1185m峰直下の雪庇
南西尾根に乗る。上三依方向 白倉山方向

 今シーズン始めて見る雪庇の隙間から標高1185m峰に出て南西尾根に乗ると目印が見られるようになり、上三依駅から登ってくるルートに乗ったらしい。この尾根も雪の上にはカモシカの足跡しか無い。冷たい北西の風がやや強く、厚手の手袋でも左手は痛いほど冷えたのでオーバーミトン装着。これは効果があった。右手は手袋の中に使い捨てカイロを入れているので問題無し。気温はそれまで-3〜-4℃だったが南西尾根で-10℃に一気に下がった。

南西尾根の目印その1 南西尾根の目印その2
南西尾根の目印その3 フカフカの雪庇が続く
熊棚 振り返れば自分の足跡

 南西尾根はこれまでの尾根よりも大きな木が目立って隙間がさらに多く歩きやすかったが、尾根南側は雪庇が成長中で柔らかい雪が吹き溜まっておりスノーシューでも潜って悪戦苦闘するため、斜めで歩きにくいが稜線上よりも北側を外れて登っていく。カモシカの足跡も同じコースだ。あちらこちらに熊棚を発見。まあ、この辺なら熊がいて当然だな。

雪庇北側は雪が薄い 雪庇側の木は真っ白
奥の高まりが白倉山 白倉山山頂
白倉山から見た日留賀岳 白倉山から見た会津駒
3D標識 栃木の山紀行もあり
白倉山から見た奥日光から尾瀬(クリックで拡大)
白倉山から見た小佐飛山から長者岳

 1240m峰を越えてなおも落葉樹林が続く広い尾根を詰めると、意外にも樹林が開けた白倉山山頂に到着。最高点は無雪期と異なるようで、3D標識と栃木山紀行標識が付けられた木は雪庇の南側にあって雪庇てっぺんより3mくらい低かった。南西尾根と北東尾根は雪庇ができるようで尾根上は樹林が開けており、南西尾根の方向は日光の山々から尾瀬にかけて展望可能、北東尾根の方向は日留賀岳も見えるが残念ながら雲がかかっていた。今頃は吹雪かな。山頂は尾頭峠方向からのトレースも皆無であった。雪庇の影で風を避けて休憩。日差しいっぱいで暖かかった。

南へ向かう ドピーカン! 青空!
広い場所ではガスったら要注意 山頂で無い場所にあった3D標識
日留賀岳を振り返る。あちらも晴れてきた

 旧町界尾根上にもトレース皆無で時々カモシカや兎の足跡が現れる程度。積雪は平均して数10cm程度と思われたが笹は全て雪の下で一面の銀世界。この尾根は目印も多く訪問者の多さが分かる。地形がなだらかで尾根が広がる場所もあってガスったら下りはイヤな尾根だろうが、今日のように快晴で視程が得られる場合なら快適だ。こりゃ日焼けするんじゃないかと思えるほどのドピーカンだった。いつの間にか風も弱まってきた。たぶん1210m鞍部だと思うが山頂でない場所に3D標識が登場、当初は雪がこびり付いて文字が読めなかったが雪を落とすと「←白倉山」の文字が出てきた。

1236m峰を登る 1236m峰てっぺんから見た高原山
鉄塔へと下る 尾頭峠の石柱

 1236m峰を越えて快調に進んで鉄塔が接近すると樹林が開けて東の展望が広がる。鉄塔から薄いトレースが出現し、トレースはトンネル西側の巡視路から上がってきて峠からは三依山方向へと続いていた。スノーシューでも場所によっては10cmくらい沈むのでトレースがあると楽ができるので大助かりだ。尾頭峠には何やら石柱が立っていたが文字までは確認しなかった。

峠から三依山へと向かう。埋もれたトレースあり 1230m峰の登り
こんな明瞭なトレースはここだけ 1230m峰てっぺん
なだらかな尾根を進む また熊棚

 尾頭峠から少し上った1170m肩で昼飯休憩。白倉山では防寒服を装着するのと目印を残すのが目的で大した時間休憩していないのでここで昼飯とした。気温はほぼ0℃以下が続いて水の消費はほぼ皆無だ。1230m峰の登りで古いトレースは吹きだまりでかき消されてしまい、スノーシューでのラッセルとなるがつぼ足よりはずっとマシだろう。1270m峰を越えたところで体が温まって防寒具を脱いだのだがここでピッケルを忘れたのは途中で発覚(具体的にどこで忘れたかはこの時点では不明)、たぶん出番は無いだろうと帰りに回収することにしてなおも進むが今度は気付かぬうちに使い捨てカイロを落とした。なぜか今回は落し物が多い。おまけに雪庇根元に隠れたクレバスに落ちて、スノーシューは雪に引っかかるしピッケルが無いがために脱出に苦労したり。

ブナを中心とした疎林が続く 雪庇の廊下
長い1290m峰 女峰山と太郎山

 傾斜が緩い所は雪庇が発達し吹き溜まりを避けて稜線西側を歩き、そうでない場所は稜線上を歩いた。無雪期のものと思われる目印もおおよそそんな感じで付いていたので雪庇の下は笹が濃いのかもしれない。1270m峰を越えてからもなだらかな稜線が続き、なかなか山頂が出てこない。顕著な尾根が左に張り出したピークが見えるがあれは山頂ではなく手前の1290m峰で、その奥が三依山だ。

このピークが三依山 三依山最高点は雪庇の上
北側に3つの標識あり 3D標識
三依山から見た七ヶ岳 三依山から見た荒海山(右側)と次郎岳

 雪庇の発達した平らな稜線を進み、最後に緩やかに登ってようやく三依山山頂到着だ。ここも雪庇ができており3D標識等が取り付けられた木の南側の雪上が最高点だった。どうにか七ヶ岳のみ見通しがあるが基本的には樹林が邪魔して展望は楽しめない。隙間を通して真っ白な会津駒等が見えるが写真に撮影する気が起きるほどではなかった。大嵐山から枯木山や帝釈山なども見ることはできた。

忘れたピッケル発見! ザックをデポした尾頭峠に到着

 休憩後に下山開始。気がかりはピッケルの忘れ物だが注意しながら歩いたにも関わらず尾頭峠までの間に発見できず、白倉山方向に登り返して探してみたが雪面にピッケル痕を発見してこの時点ではまだピッケルを持っていたことが判明、峠に戻って今度は三依山方向に逆戻り。飯を食った場所にはピッケルは無くピッケルを刺した跡があった。1230m峰を超えてなだらかな尾根を下ったところでようやく雪面に刺さったままのピッケルを発見、ここは体が温まって防寒着を脱いだ場所だ。何だかんだで1時間近く余分な体力を使ってしまった。

巡視路にはトレースありで大助かり 小規模な雪崩跡
トンネル出口到着 駐車場

 尾頭峠に戻り、トレースを辿ってトンネルに向かう。やはりトレースがあると雪の沈み込みは皆無で足がはかどる。巡視路は尾根を外れているので現在位置が把握できないが緩やかに下ってトンネルが近づくとジグザグに下っていった。最後は自分の足跡と合流しトンネルに出た。

 

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